Floating in Europe

ヨーロッパで言語学を学んでいる学生の日々です

ネイティブ話者

こんにちは。今週は珍しくリーディングが少ない週で、どちらかというとファイナルエッセイのテーマを考えるための時間を取っています。今ブロックはテストは1つもない代わりに3500ワードのドイツ語のエッセイを1本と4000ワードの英語のエッセイを2本書かなければならないので、それぞれのテーマやらリサーチクエスチョンを考えています。今日は改めて私とドイツ語の関係について話してみたいと思います。

 

ネイティブですか?

今学期私はドイツの政治を歴史的な観点から見る授業を取っています。これは全てドイツ語で受ける授業で、私に取っては初めて、ドイツ語を言語学習として学ぶのではなく、ツールとして使う授業です(もちろん言語を引き続き使いながら学んでいくという観点はありますが、教授はドイツ語を教える専門の教授ではなく、ドイツ語が話せる政治学専門の教授です)。そこで初めての授業で聞かれ、今日もまた聞かれた質問が、「あなたはドイツ語ネイティブなの?」という質問。(どうやら教授は私が最初の週に答えたのを忘れていたみたいで今日また聞かれました笑笑)

この質問はよく聞かれる質問なのですが、私はいまひとつはっきりとした答えをいまだに持っていません。生まれた時から父がドイツ語を話すことがあったので、日本に生まれ育ったとはいえ、日本語オンリーで育ったわけではないからです。そう意味においては、言語学習を通してドイツ語を学び始めたわけではなく、自然とドイツ語を話し始めたので、ネイティブに近いと思います。多分発音や、基礎的な文法構造は多分ネイティブと似たような感覚を持っています。実際私のドイツ語に日本語のアクセントはありません。(父の方言は混じっているので標準語は話せませんが笑笑)ただ、やはり日本語に触れる機会も時間もドイツ語よりも多かった上に、日本の公立学校に通っていたので、私のドイツ語と日本語は同じレベルではないですし、文法的な間違い(男性名詞、女性名詞、中性名詞や、不規則な変化を持つ動詞など)はたくさんあります。特に日本にいたときはドイツ語を書いたことがなかったので、書き言葉やフォーマルなドイツ語はまだまだといったところです。そこを今まで大学で受けてきたドイツ語の授業で補おうとしてきました。さてこれらを客観的にみて私はネイティブなんだろうか?というお話です。そもそも言語学的にネイティブ話者というのは定義が色々あり、曖昧なことも多いので、言語学を学べば学ぶほど、自分の言語能力は客観視できるようになり分析できるようにもなりましたが、この質問にはいつもまあ半分ネイティブというイメージかなと答えます。ただこの答え方だと言語学を学んでいる友達や似たような経験を持つ人には伝わっても、多くの場合には???という顔をされます。

これは日本に住んだことのあるハーフ(私は好きで自分のことをダブルやミックスではなくハーフと定義しています)やらmix-racedの人は共感してくれるかもしれませんが、日本ではまだまだハーフなら、英語やら外国語が普通に話せるというイメージがあると思います。私も昔ドイツとのハーフなのに、シンプルにハーフだから英語話せるんでしょと言われ傷ついたことがあります笑笑。今ならば笑い話ですし言語学を学んでいることは、自分の言語的なバックグランドを振り返る上でとても良い影響を受けているのですが、これを他の人とシェアすることや理解してもらうことはなかなか難しいなと思います。発信していくしかないのでしょうね。

 

今受けているこのドイツの政治についての授業では、前のドイツ語の授業と比べて正しく話すことより、何を話すかに重きが置かれているので、文法がまだまだ怪しい私にとっては有難い環境です。とりあえず流暢っぽく話すことなら、得意分野なので笑笑。さらに歴史的な観点から学んでいるので、ドイツの歴史、国家社会主義(ナチズム)などをドイツ語でさらに深く考えるのはとても興味深いです。ドイツ人の血が流れているので、日本にいた時からドイツの歴史、特に第二次世界大戦については調べたり、父と話したりはしてきたのですが、日本から(しかも当時はほとんど日本語で)学んできたことと、ここでドイツ語で学ぶことは視点が全く違うので、より考えさせられることが多いです。戦争教育や、70年以上経ったことで起こる風化や移民へどのように歴史を教えるのかという問題も絡めて話しているのですが、私は日本の戦争教育と比べてみたりもしています。答えがない問いですし、他のいわゆる西洋の国も戦争教育については足りないと度々批判を受ける分野なので、大学ではさまざまなクラスでディスカッションがなされていて、オランダで生まれ育った人とこの話題について話すのは、とても良い刺激になります。

 

 

今週末はリーディングが終わっているのでエッセイのテーマを3つ決めることに専念できそうです。ドイツ語で書くエッセイはやはり戦後の戦争教育や過去への責任について書きたいなと思いつつ、3500ワードしかないので、どのようにこのテーマをワードカウントに合わせたサイズにできるか悩み中です。ではまた!