Floating in Europe

ヨーロッパで言語学を学んでいる学生の日々です

会話の受け取り手が持つ権利

こんにちは。週末に仕事を持ち帰ってしまいあまり休んだ気がしないまま日曜の夜が来てしまった感覚なので、少しでも違うことをしようと思いブログを書いています。今日はその持ち帰ってしまったお仕事とキプロスに来て上司と話している上で感じたことをお話ししようと思います。

 

 

NPOとお金のお話

私がインターンをさせてもらっているところは一般企業ではなくNPOです。NPO非営利団体と訳されますが、その名の通り利益を目的とせず活動を行なっています。積極的に利益を生むための事業をしているわけではないので他の団体からの資金援助に頼って活動している部分がたくさんあり、例えばですが私の働いている団体はEUから資金提供を受けたり移民の方を支援する基金を出す団体からの資金をもとに運営しています。そしてこの資金を受け取るには、活動計画を立て、なぜ資金を出してもらいたいのか?という大量の書類を書き審査を受ける必要があります。EUからの資金援助だと、私たちの応募している枠の応募数の約10%の団体しか資金援助を得られないというなかなか高いハードルを越えなければなりません。私はインターンですがありがたいことに経験を積ませてもらうという意味でこの活動計画の書類作成に携わらせてもらっています。多分上司たちが書いたほうが早く良いものが書けるのでしょうが、インターンはボランティアと違って経験を積むことも大事とされているのでその一環ということみたいです。

ただこのライティングなかなかに難しく苦戦しています。この活動のモチベーションは?やそのプロジェクトの何が他の団体のプロジェクトとどこが違ってどう良いのか?のような質問に答えていかなければならないのですが、限られた字数の中で、エビデンスも入れつつ自分達の活動をアピールするするという事の難しさ。字数は少ないのに必要なソースを探したり、文章の構成を練ったりするだけで驚くほど時間が奪われていくことに自分でも驚いています。長い文章を書かなければならないアカデミックなエッセイとはまた違った難しさだなと感じています。どうしても出勤すると、オフィスでしかできない仕事で時間を奪われていくので、家でもできるパソコン仕事が終わらず最近は仕事を持ち帰ってしまうことも多く少し悩んでいます。本当はオフィスでの勤務時間内に終わらせたいものの、英語の授業をしたり、食料や衣服の支援の活動をしているうちにどんどん時間が過ぎていき、授業の準備やらライティングはどうしても週末家でゆっくり時間が取れる時にやるということが増えてきてしまっています...

 

受け取り手の権利

話は変わり、職場では不定期にミーティングが行われるのですが、先日のミーティングがどちらかというとインターンに対するお説教?のようなものだったことがありました。もちろん指導を受けている身なのでお叱りを受けることも当たり前にあるのですが、先日インターンの一人がミーティング後に泣いてしまったりしていて伝え方って難しいなと感じました。というのも上司たちはさほど怒っているつもりも責めているつもりもなくただ伝えているだけだよ?と言うからです(英語でよくwe are not blaming you all, we are just telling youと言っています)この言葉は嫌味でも裏があるわけでもなく上司たちは本当にそう思っているのでしょうが、なんせ言葉やトーンがとてもきつく、責められているように感じるのもまた事実で、そこで言語学を学んでいたときに聞いた話を思い出しました。自分が何かを伝えたいと思っていても伝え方が間違っていると会話の受け取り手は伝え手とは違った解釈をすることがある。ただ受け取り手が間違った解釈をしてしまった場合の責任は伝え手にあることが多く、受け取り手はあくまで伝えられたことを自由に解釈する権利があり(もちろんむやみやたらとねじ曲がって解釈するのはダメですが)その解釈されたことが全てなんだよと。だからなんで理解できなかったのか!と責める前に自分の伝え方を見直さなければならないといった話でした。

それを踏まえて上司たちの発言を思い出すと、伝え手である上司たちが責めているわけではないんだよとは言っても、受け取り手のインターンの多くが責められていると解釈していれば上司たちにその意図はなくても責めてしまっていることになってしまうということなのかなと思っています。ただこの伝え方と言う話にはもちろん文化の違いもあり、どこまでストレートに言うことが許されている文化なのか?ということなども関わってくるので非常に難しいことだと思います。私も他の国から来た人と話す機会が多いので、ストレートにわかりやすく伝えようとしつつもその中でできるだけ柔らかく、丸い言葉を使うようにしていますが、その難易度はなかなか高いです。わかりやすく伝えようと思うほど言葉がストレートになってしまいきつい表現になってしまったりするので。ただ会話の受け取り手が持つ解釈の権利を奪わないように、伝わらなかったり間違った伝わり方をしてしまった場合はまず最初に自分の伝え方を見直すことを意識していきたいなと思ったりしています。

 

 

明日からまた新たに大人の難民の方への英語の授業を担当することになりました。事前情報だとアラビア語が母国語の方も多く、アルファベットからのスタートになるのでお互いの共通言語が英語だけという状況のなかどうアルファベットを教えられるのだろうと不安でいっぱいです苦笑。明日の1回目の授業が終われば色々とわかってくると思うので、まずは頑張って明日を乗り切ろうと思います。ではまた!