Floating in Europe

ヨーロッパで言語学を学んでいる学生の日々です

国旗を掲げるということ

こんにちは。エッセイを書いても書いても終わらなくて限界が近づいてきました笑笑。終わりは見えてるのに訂正する箇所が多すぎて、うまく纏まってないエッセイが2つあって…。あまりにもストレスだったのか、先日もう一つ全く知らない書かなければならないエッセイをがあった!どうしよう!みたいな夢を見て、朝めちゃくちゃげっそり...みたいな日がありました。それはさておき、ドイツの留学してた分のエッセイと並行して、もちろん普通の授業もオランダで受けてるので、今日はそのお話をしたいと思います。

 

統計学

今期、言語学に使えるメソッドを学ぶというとても実践的な授業を受けています。そこで少しやらなければならないのが統計学修士言語学を学ぶ場合は多かれ少なかれ統計学はやらなければならないことが多く避けては通れないことなのですが、学士の段階では、学ぶ大学と学ばない大学があるように思います。Groningenではさわりだけちょこっとやるという感じなのですが、それでも辛い。いくらパソコンが勝手に計算してくれる時代でも数字が苦手な私(と他の多くの学生)にとっては辛い授業です笑笑。昔は計算の部分もやらなければならなかったと思うと、今の時代に生まれてきてよかったと思っています笑笑。

この授業では他にもコーパス言語学をかじったりしています。コーパス言語学とは実際の言語資料(本やスピーチ、論文、とにかく言語が使われている資料)をもとに実際に言語がどのように使われているのか?ということを研究する分野です。実際に言語ごとに大量の言語資料がデータ化されており、それを使って例えばある言葉はどのような言葉とともによく使われているのか(コロケーション)?や似たような意味を持つ言葉はどのように使い分けられているのか?というのをデータから分析します。日本語のデータは例えば、言語資源開発センターという機関が集めているみたいです。授業では例えばutterとsheerがどのように使い分けられているのか?みたいな質問をコーパスを使って分析してみるということをしてみました。まだまだデータベースを使いこなせないのですが、使いこなせるようになったら面白いんだろうなと思いました。しばらく自分のエッセイに使うことはなさそうですが笑笑。でも使える武器を持っておくことは大事だと思うので、少なくとも基礎は忘れないようにしようと思っています。

 

 

ドイツ文学

それ以外に受けているのがドイツ文学の授業。これはドイツの言語学政治学と組み合わさった授業なので、たったドイツ文学の授業だけで考えると4週間で終わりました。前のドイツ文学の授業も担当していた教授だったのですがその教授の出す課題の読む量が相変わらずえげつなくて、授業前に深夜まで読んでいました。相変わらずドイツ語を読むのは遅いので苦笑。そのなかで、ドイツが戦後ナチズムの過去と十分に向き合ってこなかったという批判が混じったような本を読みました。(Christian Kracht, Faserland)

de.wikipedia.org

その中で珍しく教授が自分の政治的な意見を述べていて興味深いなと思ったので皆さんにシェアしたいと思います(教授が自分の政治的な意見を述べることは禁止されていないので個人の自由ですが、大々的に話す教授は少ないように思います)。ドイツでは戦後、愛国心や国民としてのプライドというものを持つことを避けるように教育された節があります。そのよくわかる例が国旗を掲げることへの抵抗。例えばスポーツイベントで国民が勝ったら国旗を持って祝ったりすることがあると思いますが、ドイツでは長らく国旗を掲げて祝うことをされてきませんでした(もちろんナチ党の旗であったハーケンクロイツではなく現在の黒赤黄色の国旗のことです)。よくわかる例が1974年にドイツが男子サッカーワールドカップで優勝した時。当時の観客はほとんどドイツの旗を振ることがありませんでした。これが変わったのが2006年にまたドイツが男子サッカーワールドカップで優勝した時。ここではほとんどの人がドイツの国旗を振っていました。時代の変化とも言えるでしょうが、教授はとても批判的にこれらのことを見ていました。というのも、第二次世界大戦後ナチ党にいた人はそのまま政界や経済界に残っていて、表立ってナチ党のイデオロギーが表現されることは少なかったものの、社会から消えたわけでもなかったというのが現状だったからです。当時からこの状態を批判する人もいましたが、それでも大多数が歴史とちゃんと向き合ってこなかったのではないか?と教授は言っていました。そしてさらに、国民としてその祖先が犯した罪と責任は負っていて、戦後100年も経っていないのに、この歴史のことは過去の1ページとしてしまい込んで、声高に愛国心を叫び国旗を掲げるというのはあまりにも短絡的ではないかという意見でした。

個人的には祖先が侵した罪と責任は負うべきだと思っていますが、愛国心を根本から否定することもできないような気がします。スポーツイベントなどでドイツ国旗を一切使うな!とまでは私は言わない気がします。でも少なくとも過去の1ページとして切り離すのではなく、歴史は繋がっていてその影響は今でもあるということはちゃんと自覚したいなと思いました(日本のことも含めて)。そう考えると、何気なく掲げられていたりする国旗が象徴するものは大きいなと思います。昔通っていた日本の学校でステージの上にあった日本国旗に一礼をしてから話すということにゾワッとした思いを抱えていたのも、今なら少し言語化できるなと改めて考えたりしていました。もちろん私の個人的な考え方なのですが。

英語の記事なのですが、ドイツと国旗を掲げることについての興味深い記事を見つけたので、もしよければ読んでみてください。

www.dw.com

 

 

 

 

ここ2日間オランダでは珍しく晴れて暖かい日が続きました。また明日から雨が降るみたいですが笑笑。せっかくの青空だったので写真を撮ってみました。

ルームメイトがピザを作るのにハマって先週末ピザパーティーをしたのですが、また明日も作ってくれるみたいです。全て手作りでめちゃくちゃ美味しいので、それをご褒美に明日またエッセイを頑張ろうと思います。ではまた!